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「プルースト、1907年7月1日のコンサート」(テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(vn)、タンギ・ド・ヴィリアンクール(p)) [室内楽]

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[目][黒ハート] 1907年、プルーストはパリのホテル・リッツで室内楽のコンサートを開催した。中心となったのは崇拝するフォーレのヴァイオリン・ソナタで、さらにシューマン、ショパン、クープラン、ワーグナーなどが演奏された。このCDは、ストラディヴァリやエラールのピアノを用いてその演奏会の雰囲気を再現したもの。プルーストはフォーレのほか意外にもワーグナーを愛し、ここには「イゾルデの愛の死」(リスト編)が収められていて、なかなかの聴きものだ。ドイツ物までフランス文化に色付けされており、一聴して当時の世界に引き込まれる。後の「失われた時を求めて」との関連もあるという。スワルテのヴァイオリンは特に当時の文化を蘇らせる。[harmonia mundi]

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ハイドン「弦楽四重奏曲第57番-62番『第1トスト』作品54&55(全6曲)」(ロンドン・ハイドン四重奏団) [室内楽]

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[目] ハイドンの「トスト」弦楽四重奏は、パリ交響曲とロンドン・セット交響曲の間の時期に書かれた。作品33の四重奏曲の評判から、ハイドンの弦楽四重奏曲はヨーロッパで大人気、出版社間では新作の楽譜の出版を争うほどだったという。素晴らしい作品33と比べると、書法は一段と充実しているが、反面地味だ。全体に第1バイオリンが活躍するのが特徴。58番が有名だが、ゆったりと始まる変奏曲を第1楽章として持つ61番「剃刀」もいい。ロンドン・ハイドン四重奏団は古楽器団体で、当然にハイドンを得意としていて全集の一環。[Hyperion]

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Innovators(バルトーク第2番、ベートーヴェン「セリオーソ」、ラベル)(ベンユーネス四重奏団) [室内楽]

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[目][黒ハート] 「イノベーターズ(革新者たち)」というタイトルを持ったコンセプト・アルバム。「ドビュッシーの和声、ベートーヴェンの進行形(Progressive Form)、バッハの対位法を総合できないか」というバルトークの言葉が引用されている。10年のキャリアの中から選んだ選曲という。そういう気持ちでバルトークの2番を聴くと、様々な要素が織り交ざっているような気がしてくるが。ベンユーネス四重奏団は、第一ヴァイオリンを弾くザラ・ベンユーネス(ジャケット写真右下)が主宰するイギリスの団体。近現代に強みを持ち、ダンスやジャズとの共演もあるようだ。[Champs Hill]

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ハイドン「弦楽四重奏曲第31番-36番『太陽』作品20(全6曲)」(ウルブリヒ四重奏団) [室内楽]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] ハイドンのいわゆる「疾風怒濤期」の作品。メロディーが親しみやすく、どの曲をとってもディヴェルティメントのように楽しめる。一方で、構成が簡素なので、この時期にしては意外なほど完成感が高く、初期のモーツァルトに影響を与えた。ウルブリヒ四重奏団は、旧東独のドレスデン国立管弦楽団のメンバーによって組織された団体。落ち着いた弦の響きは最近の団体からは得られないような滋味に満ちていて、好きな人にとっては宝物のようなアルバムだろう。1970年のアナログ録音で、デジタル処理により非常に綺麗に響く。高価なレコードなら毎日これだけを聴いていたくなる。名盤。[DENON]

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ハイドン「弦楽四重奏曲第37番-42番『ロシア』作品33(全6曲)」(アイブラー四重奏団) [室内楽]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] ハイドンのロシア弦楽四重奏曲6曲は、ハイドンの四重奏曲の中でもことのほか素晴らしい。この曲集の形式上の特徴は、メヌエット楽章がすべてスケルツォとなっており、しかもそのうち4曲が2楽章に置かれていることだ(ただし激しくはなく多分にメヌエット的)。内容的には「ご機嫌いかが」「冗談」「鳥」と名前の付いた3曲はもちろん、全てが音楽的な喜びに満ちている。全体にこじんまりしていて、ソナタ形式が完成した瞬間を見るような新鮮な気持ちにさせる。モーツァルトは、この曲集を研究してハイドン・セット四重奏曲を書いた。アイブラー四重奏団は、トロントを本拠地とする古楽器団体。録音がゆったりとした響きを捉えていて非常に良い。[Analekta]

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ハイドン「弦楽四重奏曲第75番-80番『エルデーディ』作品76(全6曲)」(ドーリック弦楽四重奏団) [室内楽]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] ハイドンとモーツァルトは相互に尊敬・敬愛し影響を与えあった。この作品76は、年少のモーツァルトの死後に書かれた。「ハイドン・セット」はもとより三大交響曲を踏まえた後のもので、作品50に比べても格段と緻密に書かれており、ハイドンの弦楽四重奏の中では最もよく演奏される。76の第3「皇帝」では、ドイツ国歌ともなった第2楽章はしっとりとした演奏で、全体に張りが漲る。76の第5の2楽章は、ハイドンからこんな美しいメロディーがというような曲でうっとりする。どの曲も個性豊かで、出だしから魅せられる。ドーリック四重奏団はイギリスの団体で、第1バイオリンの美しい音色と歌心が聴きもの。[CHANDOS]

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ハイドン「弦楽四重奏曲第44番-49番『プロシア』作品50(全6曲)」(ツァイーデ四重奏団) [室内楽]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] 女性4人の四重奏団による2015年の録音盤。ハイドンの時代、弦楽四重奏曲は6曲をセットに楽譜が出版され、アマチュア演奏家が買い求めるという慣習があった。このプロシア四重奏曲6曲は、モーツァルトの緻密で完成度の高いハイドン・セット6曲を、ハイドンがモーツァルトの自宅で聴いて絶賛した後に書かれた。このCDの解説には冒頭に、「もしハイドンが書いた弦楽四重奏曲がこの作品50だけだったとしても、ハイドンは依然として音楽史上最高の弦楽四重奏曲作曲家だったろう」とある。ツァイーデ四重奏団は、音色の美しさよりは理知的な音楽作りをして現代音楽を得意とするようだが、音楽性豊かな第1ヴァイオリンが聴きもので、自由で巧みな歌い回しと構成力に魅せられる。[NoMadMusic]

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フランク、R.シュトラウス「ヴァイオリン・ソナタ」(デュメイ(vn)、ロルティー(pf)) [室内楽]

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[目][黒ハート] デュメイは、今やフランコ=ベルギー楽派を代表するヴァイオリニスト。この楽派は、弓を弦に強く当ててねっとりした音楽づくりをするのが特徴と思う。古くはこのソナタが献呈されたイザイがいるが、録音ではグリュミオーが名高い。美音を追求する点ではイスラエル系と似ているが、もっとねっとりと濃厚だ。切れ味がはっきりくっきりのロシア系とは一線を画する。この楽派が注目されるのも、一重にフランクのソナタという飛び切りの名曲があるからでもある。現在、ヴァイオリン・リサイタルでトリをとるのにもってこいの曲であり、チェロやフルートでも欠かせないレパートリーだ。デュメイの演奏は、オーソドックスながらも濃厚で、この楽派の特徴をよく伝える。[onyx]

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ベートーベン「弦楽四重奏曲第15番、16番」(ペンデレッキ弦楽四重奏団) [室内楽]

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[目][黒ハート] ベートーベンの弦楽四重奏曲第13、14、15番のうち、最初に作曲されたのはこの第15番だ。全5楽章のうち第3楽章が、病から回復した者の神への感謝の歌、というような副題が付けられ、比較的よく知られる。私も後期弦楽四重奏の中では、この曲に一番馴染がある。ペンデレッキ弦楽四重奏団は、ポーランドのペンデレッキ室内楽コンクールでペンデレッキ賞を獲得し、カナダ・オンタリオを本拠としている団体。名前からしてベートーベン?と思ったが、頑健な構成感で違和感なく後期ベートーベンの世界を描き出す。作曲家ペンデレッキも、日本で第9を指揮しているほどで、共感するところがあるのかも知れない。力感あふれる4つの楽器がぶつかり合うアンサンブルは、この団体の実力の高さを示していて聴きものだ。録音は極上。[MARQUIS]


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ベートーベン「弦楽四重奏曲第12番、第14番」(ブレンターノ弦楽四重奏団) [室内楽]

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[目] ベートーベンの弦楽四重奏曲は、初期6曲、中期5曲はどれも傑作であり、大好きだ。しかし後期5曲(ないし6曲)となると、どうだろう?後期には、交響曲第9番や後期3大ピアノ・ソナタのような素晴らしい作品もあるが、深淵そうな弦楽四重奏曲は敬遠してきた。ただその中でも12番は、変ホ長調という調性もあって、普通のベートーベンらしさが窺えて比較的に聴きやすい。中心となるのは、やはり変奏曲で書かれた緩徐楽章(第2楽章)だ。ブレンターノ弦楽四重奏団は、1992年結成の米国の団体で、プリンストン大学のレジデント(常駐団体)。 響きや音楽作りに明るさを持ち、各奏者の技術、音色が良く揃っている。[aeon]


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ベートーベン「弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調」(スメタナ四重奏団) [室内楽]

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[目] 第14番は、ベートーベンの後期弦楽四重奏曲5曲(大フーガを入れると6曲)の中で最高作とされる作品だ。 全7楽章からなり、短い楽章がつなぎのような役割をはたして、全体は切れ目なしに演奏される。構成の完成度は、かなり印象的だ。中心となるのは、晩年の作品によく見られる、変奏曲で書かれた緩徐楽章(第4楽章)。親しげで明るさを持ち、全体にメランコリックなこの曲の救いだ。後期弦楽四重奏曲について言われる、「我々にはそこに何かがあるのは分かるが、何であるかは分からない」という言葉は、この曲に一番当てはまる。旋律は難解ではないが、感動未満であり、不思議な雰囲気を持った曲だ。スメタナ四重奏団は、日本では特に人気のあった団体で、イルジー・ノバークの明るくてよく歌う第1バイオリンが魅力。[DENON]

[付記] 
練馬区が主催する「五味康祐のオーディオで聴くレコードコンサート」というイベントに行ってきた。石神井公園ふるさと文化館分室で定期的に開かれているものだ。曲はオール・ベートーベンで、中心はこの嬰ハ短調の四重奏曲作品131だった。五味氏は大のクラシック・ファンで、随筆「天の聲-西方の音」では、通夜にかける音楽についてこう語っている。「さてそんな私がただ1曲を選ぶとなれば、迷った末にこの作品131を採るのは、要するに人は皆いじらしく切ないことをこの年になって悟ったからで、悟る以前の悪行のくさぐさをゆるされたいねがいもこもっている。」そこにある何か、とは、「死を目前に控えた人間の悔悟」だろうか?


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ベートーベン「ピアノ三重奏曲第7番『大公』」他(バイオリン:D.オイストラフ、ピアノ:L.オボーリン、チェロ:S.クヌシェビツキー) [室内楽]

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[目] 村上春樹の「色彩のない多崎つくると、彼の巡礼の年」に感銘を受けたので、海外で評判のいいという「海辺のカフカ」を読んでみた。そこでクラシックを聴いたことのないトラックの運転手が興味を持つのがこの曲だ。ベートーベンというのも、「大公」というのも意外な感じがする。ただし、そこでの演奏は百万ドルトリオ(ルービンシュタイン、ハイフェッツ、フォイアマン)で、かなり力の入った神がかった雰囲気を持っているから、幻想的な小説の雰囲気にマッチしてるかもしれない。この負けないほどに名手を集めた演奏は、かなり淡々としていて、この曲が後期ベートーベンへの入り口に立っていることを感じさせる。ここで中心となっているのはオボーリンで、磨かれた音色によるロシアの美音奏法が聴きものだ(それは、後のアシュケナージに見事に受け継がれている)。[EMI]


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ドボルザーク「弦楽四重奏曲第13番、第12番“アメリカ”」(パベル・ハース四重奏団) [室内楽]

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[目][黒ハート] 若い世代の弦楽四重奏団の中でも、ヨーロッパでひときわ評価の高いチェコの団体による、ドボルザーク。ビオラとチェロが男性、バイオリン2人が女性という組み合わせは意外に珍しく、あまり他に思い当たらない。 最も印象に残るのがチェロで、豪放にして細心、表現力、情感において傑出していて、音楽全体を引っ張っている。ビオラも、きちんと弾こうという姿勢が、誠実さを感じさせる。この2人に比べると、女性2人のバイオリンは技術的には達者だが、個性は前面に出てこない。女性上位が多い世の中で、この男性上位とも言える演奏は、しっかりした安定感がありむしろ新鮮だ。一方では、4人の呼吸が合っていて、チームワークを楽しんでいるような雰囲気が、若々しくてとてもいいと思う。2011年度英誌グラモフォン年間最優秀賞に輝いた。[Supraphone]


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モーツァルト「コシ・ファン・トゥッテ」から(Pentaèdre:木管五重奏) [室内楽]

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[目] レーベルから判断するとフランス系カナダ人の木管五重奏団による「コシ・ファン・トゥッテ」のハイライト。フランス系の管楽合奏を楽しむCDで、その意味では大変魅力的に仕上がっている。2つのスピーカーの間に、左から、オーボエ、フルート、クラリネット、ホルン、バスーンと定位する。オーボエは、独墺系のチャルメラのような音色とは違い非常に柔らかくて上品だ。紅一点のフルートは、より表情にメリハリがあって音楽をひっぱる。メロディーは主としてこの2つの楽器が受け持つが、クラリネットが最もオペラ的な雰囲気を持っている。ホルン、バスーンも良く、全体に上品な音楽作りはドイツ系ともイタリア系とも違い、リラックスした上質な時間を過ごすことが出来る。[ATMA classique]


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モーツァルト「フルート四重奏曲(全4曲)」(エマニュエル・パユ:フルート、クリストフ・ポッペン:バイオリン他) [室内楽]

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[目] パユは、オーボエのアルブレヒト・マイヤーと並んで、現在のベルリン・フィルの木管の顔と言っていい。フランス語圏スイスの出身で、フランスとドイツの文化的接点に位置する人だ。名前からフランス系と思って華麗な演奏を想像すると決してそうではなく、緻密さも重厚さも兼ね備えた、非常にしっかりした演奏をする。ベルリン・フィルは女人禁制が解けて女性奏者が目立ってきたが、音色もフルトヴェングラー、カラヤンの時代の緊迫したゲルマン的な感じが薄れ、国際的でいくらかふっくらとしてきたと思うが、依然として非常に緻密で正確、しっかりしたところは、パユの役割も大きいだろう。このフルート四重奏曲でも、カチッとした構成感で聴かせる立派な演奏。ただ私としては、もう少し心が癒されるような、スキのある演奏にも惹かれるところがある。[EMI]


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歌劇「コシ・ファン・トゥッテ(フルート四重奏版)」(ヴォルフガング・シュルツ:フルート、ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団) [室内楽]

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[目][黒ハート] ウィーン・フィルというのは、シュルツなのだ。私たちがウィーン・フィルという時にイメージするオケの音色は、シュルツのフルートの音色とぴったりと重なり合う。 共に、柔らかく、内に豪華さを秘め、音楽が弾むように前へ前へと進み、やがて聴くものは無上の幸福感に満たされる。技巧も、音楽性も、何もかもがトップ・クラスだ。ここではシュルツとウィーン・フィルのメンバーとの共演で、十八番のモーツァルトのオペラからのナンバーを演奏している。弦がやや控えめなのは、各パートのトップではないからか、あるいはシュルツを立ててからだろうか。その代わり、名旋律の数々をシュルツのフルートでたっぷりと聴くことが出来る。1970年から首席を勤めてきたシュルツも、今季で引退という。ウィーン・フィルの音色がどのように変わるのか、それはそれでまた楽しみでもある。[camerata]


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バッハ「トリオ・ソナタ」(ブルック・ストリート・バンド) [室内楽]

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[目] バッハのトリオ・ソナタを聴くというのは喜びだ。私はオルガンの原曲は、フランスの女流オルガニスト、マリー=クレール・アランの感覚的で敬虔な演奏で永く愛聴してきた。ブルック・ストリート・バンドは、1995年に編成された女性ばかりの団体で、評判は上々。「ブルック・ストリート」というのは、ロンドンでヘンデルが住んでいた通りの名前という。原曲の右手を第一バイオリン、左手を第二バイオリン、ペダルをチェロとハープシコードに、ほとんど手を加えることなく移しているようだ。非常に元気のいい演奏で、ハツラツとした表情がすがすがしい。ただバッハに一生を捧げ内面から光が滲み出るような格調を持っているアランの演奏に比べて、この演奏はヘンデルのようにひたすら開放的で影がなく明るい。ヘンデルの側から見たバッハと言えるかも知れない。[AVIE]

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ベートーベン「ヴァイオリン・ソナタ第1、4、7、8番」(アリーナ・イブラギモヴァ:ヴァイオリン、セドリック・ティベルギアン:ピアノ) [室内楽]

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[目][黒ハート] 若冠25歳、世界が注目するロシアの新鋭イブラギモヴァと、フランス中堅ティベルギアンのロンドン、ウィグモア・ホールでのライブ盤。ティベルギアンのピアノは、若々しく快調なテンポで進行し、溌剌とした初期ベートーベンの世界を繰り広げる。しかし当日の大半の聴衆のお目当てはイブラギモヴァのヴァイオリンだろう。この人の演奏は、一聴して相当な才気を感じさせるもので、ビブラートは殆どなし、虚飾を排してひたすら音楽の本質に斬り込もうといったスタイルだ。だから、ピアノと違ってこのヴァイオリンは、決して耳に心地良くはない。ジャケットで見る通り、大変に魅力的な女性だから、まずはそのギャップに戸惑う。こういう人は、聴く方にもそれなりの求道的な強さを要求するから、じっくりと腰を据えて付き合っていこう。録音は極上。[WIGMORE HALL]

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モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ(全曲、シムロック版)」(フランツ・ヨーゼフ四重奏団) [室内楽]

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[目] 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の編曲は19世紀末までに管楽器中心に600種類以上作られたそうで、そのうち弦楽四重奏版は11種類という。ここで使われている版は作者不詳だが、楽譜出版商シムロック社(現在でもあります)から出されたもので、ウィーン版2曲を加えて全ナンバーが収められている。フランツ・ヨーゼフ四重奏団はカナダの古楽器団体だから、この版の価値を現代に伝えることがこのCDの狙いだろう。全体に各パートに自由に旋律を割り振った娯楽色の強い編曲で、それは最終幕での騎士長の恐ろしいレシタティーブが第1バイオリンに出ることからも分かろうというものだ。弦は管より表現力が強いので、劇の進行も、1,2幕ともフィナーレに向かうエネルギーも十分に感じさせてくれるが、四重奏団の個性はいまいち。第1バイオリンの音色はかなり明るい。[ATMA Classique]

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ラヴェル、ドビュッシー、フォーレ「弦楽四重奏曲」(エベーヌ四重奏団) [室内楽]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] 新世代の弦楽四重奏団の中で、最も注目されている一つが、フランスのこのエベーヌ四重奏団だ。何が凄いって、聴いていてまるで「弦楽四重奏」という一つの楽器を一人で演奏しているようにしか思えないほど、各楽器が有機的に緊密なのだ。旋律が楽器間で受け渡しされても、聴こえてくる「音楽」は全く同じで、4人の独立した音楽家がこんなに楽曲解釈を同化できるんだろうかと思うほどだ。もちろん根底にはそれぞれがベラボーにうまいことがある。アンサンブル重視の四重奏団としては、エマーソン、旧くはブダペストやジュリアードが頭に浮かぶが、エベーヌも、「第1ヴァイオリンのこぼれるような魅力」とは違う、アンサンブルの迫力を十分に堪能させてくれる。2009年グラモフォン最優秀賞受賞盤。[Virgin Classics]

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