ベルク、ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」(イザベル・ファウスト、アバド指揮モーツァルト管弦楽団) [管弦楽]
ベルクのヴァイオリン協奏曲は、早逝したアルマとグロピウスの子マノンに捧げられたと考えられているが、ベルク自身がそう言っている訳ではない。マノンは18歳前後で死んだが、女優をしていてかなり自由な性格だったという。残された写真で見る限りごく普通の女性だ(ジャケットに使われているのはクリムトの絵で、モデルはマノンではない)。私はこの曲の副題にある「ある天使の思い出に」は、切り裂きジャックに殺された「ルル」のことではないかと疑っている。我々は誰もマノンを知らないのに対し、これこそは弱者を標的にした真に憎むべき犯罪だからだ。演奏は独奏もオケも柔らかく抒情的で、バラバラになりがちな12音の音楽が、最後は一つの気分に収束していく様が感動的だ。[hm]
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