松本美和子「ひとすじに」(ピアノ伴奏:椎野伸一) [声楽]
日本の声楽界を代表するソプラノ松本美和子の半生を振り返るようなリート集。思うに、日本人でオペラのために生まれたような歌手が2人いて、松本美和子はそのうちの1人だ(もう1人は森麻季)。松本美和子は、日本のオペラの開花期に、イタリアやウィーンやロンドンのオペラハウスの舞台に立った最初期の国際的歌手だ。CD解説にはその頃のエピソードやらを語ったインタビューが収められていて、感慨深くもあり、性格の魅力が滲み出る。内ジャケットは当時の舞台・楽屋写真などのコラージュで、シラク元大統領なども見える。トスティなどイタリア6曲、ドイツ3曲、日本3曲、スペイン2曲、フランス4曲で、思いが込められていそうだ。最後はフォーレの「夢のあとに」で結ばれる。公演、教育など、80近くても現役で声は透明で魅力的。しばし満たされた時を過ごせる、夢のようなCD。[NAR]
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