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シューベルト「ピアノ・ソナタ第13、16、18番」他(イリーナ・メジューエワ:ピアノ) [ピアノ]

schubert_piano.jpg(2枚組)

[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] どれも私の好きなシューベルトのピアノ・ソナタを3曲集めたアルバム。特に第18番は、ゆっくりと波打つような水面に、音楽が幻想的に展開されていく様が、天才的と思わせるほどに豊かな音楽の流れを作り出す。愛らしい13番、力のこもった16番など、どれを取っても素晴らしい傑作だ。メジューエワは、ロシア生まれで日本をベースに演奏活動を行う。非常に真面目に音楽に向かういわば楷書のような演奏で、ディナーミクは大きな方ではないが、録音の良さも相まってシーンと張りつめた静かな音響が耳に心地よい。古楽器ではないが、1922年製のスタインウェイの響きに興味を持つ人もいるだろう。[BIJIN]

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「いつ踊ればいい?」(ピアノ:リーズ・ドゥ・ラ・サール) [ピアノ]

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[目] フランスのピアニストによる世界のピアノ舞曲集。アメリカから始まり、ラテン・アメリカ、ヨーロッパ、東欧、ロシアと回り、またアメリカに帰ってくるという趣向だ。本人によれば、中心になるのはワルツという。どの地域も特色をよく表現している。始まりはガーシュインのタイトル曲で、洒落た感じがよく出ている。ヒナステラは、グロテスクとロマンティックが交差する。ストラビンスキーのタンゴや、ラフマニノフのポルカは意外と古典的な面が楽しめる。しかし印象に残るのは、流麗なサン=サーンス「ワルツ形式の練習曲」や、明確なリズムを持ったバルトークの「ルーマニア民族舞曲」だったりする。悪くはないが、どうしてもというものがあるといい。[naive]

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シューベルト「即興曲D899、3つの小品」、ベートーヴェン「ソナタ第29番”ハンマークラヴィーア”」(ピアノ:グレゴリー・ソコロフ) [ピアノ]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] ソコロフの名前は、不覚にも最近まで知らなかった。これは「ハンマークラヴィーア」を聴くために買ったが、シューベルトが予想外の絶品。旧ソ連からは「幻のピアニスト」が時として出た。リヒテル、ベルマンなど、西側に突然デビューして驚かされた。ソコロフは、1966年のチャイコフスキー・コンクールで審査員全員一致で優勝してからも、西側ではほとんど知られていなかった。観客ではなく、ひたすら作品と向かい合う姿勢は神々しくさえあり、聴いていて涙が出そうになる。こういうピアニストはいなくなった。技巧的には完璧、何ら奇をてらったところもクセもなく、作品そのものの持つ力に感動する。[DG]

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「the journey」(ピアノ:レオン・フライシャー) [ピアノ]

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[目][黒ハート] 最近亡くなった往年のピアニストの2005年の録音。バッハに始まりモーツァルト、ショパン、ストラヴィンスキーの作品を演奏している。フライシャーは、病気で右手の自由を失い、しばらく左手のピアニストとして演奏活動をしていたが、これはリハビリにより両手を復活させてからの録音。モーツァルトはソナタ4番をしっとりと演奏している。わずか17歳の時の作品だが、陰影に富む憂いを帯びた曲想は、この時の心境にマッチしたのだろう。ショパンの子守歌も、穏やかな演奏。感動的な演奏、と言いたいところだが、あくまで硬質な抒情は感傷的な感情移入を許さないところがあり、むしろこのピアニストの内面の強さが伺える。[Vangaurd]

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バッハ「WORKS & REWORKS」(ピアノ:ヴィキングル・オラフソン) [ピアノ]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] オラフソンは、アイスランド出身の新星ピアニスト。バッハは依然として、あらゆる音楽的インスピレーションの源泉だ。この2枚組は、1枚目はバッハの小品集(WORKS、編曲ものも含まれる)、2枚目は小品に手を加えた電子音楽風の演奏(REWORKS)が集められている。黒光りのする硬質のピアノの音による、唖然とするほどの技巧を聴くことができ、グレン・グールドの最初のゴールドベルク変奏曲の演奏を聴いた時のような驚きと感銘がよみがえる。それでいてバッハの神髄を捉えており、聴いていて心が落ち着く。近年、出会ったことのないような才能と思う。ただし、2枚目にはほとんど価値を見出せない。英Gramophone誌で、2019年度の「アーティスト・オブ・ジ・イヤー」に選ばれた。[DG]

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ショパン「12の練習曲 作品10、即興曲他」(三浦友理枝、ピアノ) [ピアノ]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] このピアニストは聴き手を幸せにする。私はハ長調の最初の一音から、しばし幸福なひと時を過ごした。何を隠そう私は、三浦友理枝の隠れファンなのだ。新譜の時はSACDであきらめたが、これは高音質CDでの再発。練習曲作品10は極め付きの名曲だが、作品25がペアになっていないのは明るさを通したかったからか。三浦友理枝の武器は、暖かい幸せ感を感じさせるヤマハ・ピアノの音色だ。戦後の成長期に、この音色が日本人に感じさせた幸せな将来への夢は、何物にも代えがたい価値を持った。女性らしいどの一音にも神経が行き届いた細やかさと、女性らしからぬ力強い打鍵。これからも若い人たちや子供たちに、スタインウェイにも負けないクール・ジャパンの幸せな音色と音楽を届けてほしい。[avex]

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「マザーランド」(カティア・ブニアティシヴィリ:ピアノ) [ピアノ]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] 超絶技巧で鳴らしたグルジアのピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリの、打って変わっての穏やかな小品集。バッハからロマン派、リゲティまで、またヨーロッパから自身の編曲によるグルジア民謡まで、このピアニストの多彩な世界を聴かせてくれる。選曲自体が、このピアニストのアイデンティティを現しているようで興味深い。印象に残るのは、まずは冒頭のバッハ(アリア「羊は憩いて草を食み」)、 そしてやはりショパン(練習曲嬰ハ短調作品25-7)、そしてスクリャービン(練習曲嬰ハ短調作品2-1) あたりだろうか。実力も中身も伴ったピアニストの小品集であり、なかなか奥深く、繰り返し聴いても飽きが来ない。[SONY]


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ラモー「新しいクラヴサン曲集」(ピアノ:アレクサンドル・タロー) [ピアノ]

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[目][黒ハート] ラモーのクラヴサン曲は、バッハのチェンバロ曲が盛んにピアノで演奏されるのとは対照的に、ピアノではまず演奏されない。 しかしここでのタローによる演奏を聴くと、音がロマンチックで、心休まる優雅な調べが繰り広げられ、新しい発見をしたような気になる。今日の演奏は、作曲当時の奏法を復元する方に重きが置かれていて、それは現代人にとって新鮮な発見でもあったのだが、それとはまったく反対の方向にあるところが面白い。クラヴサンに比べてピアノはよりダイナミズムと感情表現に優れているので、それらを抑えながらも、やはり驚くほど近代的に響く。[harmonia mundi]


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ラモー「クラヴサン曲集」(クラヴサン:クリストフ・ルセ) [ピアノ]

rousset.jpg(2枚組)

[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] フランスのラモー(1683-1764)という作曲家はあまり聴く機会がないが、バッハと同時代の人で、オペラなどの舞台作品のほかには、ここで演奏されているクラヴサン曲集が有名。これは、大きく分けて3つあるラモーのクラヴサン曲集をすべて集めたもの。18世紀のフランス人は才気や機知を重んじて、当時のドイツ人を鈍重で田舎くさいと感じていたようだが、ここでのラモーの第1人者といってよいルセによる演奏は、どれもフランスのエスプリを感じさせるもので、溌剌として精気に溢れ耳に心地よい。ラモーやクープランのクラヴサン音楽は、やがてドビュッシーやメシアンに引き継がれ、今日まで輝かしいフランスの鍵盤音楽の歴史を形作っている。[L'OISEAU-LYRE]


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シェーンベルク「ピアノ曲集」(マウリツィオ・ポリーニ:ピアノ) [ピアノ]

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[目] 新ウィーン楽派(シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン)は、100年を経た今、なおも前衛だ。それを主導したシェーンベルク自身のピアノ曲は、初期のロマン派様式の曲がないが、それ以降の、無調から12音へと変遷していった軌跡を辿ることが出来る。「3つのピアノ曲op11」「6つのピアノ小品op19」は、無調で気持ち悪い。「5つのピアノ曲op23」から12音で作曲されており、無調よりは透明感が高く、「ピアノ組曲op25」ではバロック組曲に範をとっているため、いくらか馴染みやすい。シェーンベルクのピアノ曲集は、奇人っぽいグレン・グールドが録音していたが、これは正統的なショパン弾きであるポリーニが録音したことで話題を呼んだ。強い緊張感を感じさせる並々ならぬ演奏であることは分かるが、曲自体はいまだに前衛で、よく分からない。[Grammophon]

12音音楽について
「12音技法」というのは、システマチックに無調の音楽を書く手法だ。1オクターブの12の音をすべて使った任意の音列(セリー)を旋律、和声のベースにして曲全体を構成する。なぜこうするかというと、「無調というのは、実は書くのが難しい」(柴田南雄)からだ。無調というのは、主音・属音、主和音・属和音のない音楽で、旋律には発射する地点も目指す地点も着地する地点もなく、大抵は聴いていて気持ち悪い。シェーンベルクがなぜこうまでして無調にこだわったのかはよく分からないが、12音までいくとほとんど感情表現は排除される。
そのシェーンベルクを大叔父に持つクロード=ミッシェル・シェーンベルクが、感情表現が非常に豊かな「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」を書いているのは、音楽界の七不思議だ。


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「ワルツの様相」(ピアノ:アルド・チッコリーニ) [ピアノ]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] 名手、チッコリーニにより古今のワルツ13曲が集められている。フランス物が多いのは当然としても、演奏はどれも滋味あふれるもので、心に染み入るようなCDだ。最初のシャブリエの「音楽帳の1頁」で、その語り口のうまさに思わず引き込まれる。サティ「あなたがほしい」が絶品なのは当然として、シューベルトの残したスケッチをもとにR.シュトラウスが完成したという珍しい小品なども不思議と心に染み込んでくる。グリーグの抒情小曲集からの「思い出」、有名なブラームスのワルツ変イ長調等々、しばし夢のような時間を過ごすことが出来る。解説は多言語だが、日本語が入っているのが便利。[la dolce volta]


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「ショパン(スケルツォ全4曲他)、リスト、ラヴェル」(ピアノ:ベンジャミン・グローヴナー) [ピアノ]

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[目] イギリス出身、数10年に1人と言われる超絶技巧ピアニスト、グローヴナーのデビュー・アルバム。2011年の録音時まだ10代だ。技巧と音楽性の関係は、古くて新しい問題だが、かつてほど精神性を言わなくなった現代では、技巧は以前よりはるかにポジティブに捉えられている(生前は必ずしも高い評価ではなかったハイフェッツなど、今ではほとんど神様扱いだ)。私も、非凡な技巧は人々を感動させると思う。例えばここでのスケルツォ第1番の指の回転の速さは、それだけで感動的だ。しかし一方で、やんちゃな男の子が力まかせに弾いている、といった印象も否めない。ホロビッツの「鬼気迫る」、ミケランジェリの「完全無比」といった技巧との間にあるのは、むしろ年齢だろうか。しかしこういった若いパワーこそが、クラッシク界の華であることは間違いない。[DECCA]


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ドビュッシー「前奏曲集第2巻、バレエ音楽『おもちゃ箱』」その他(小川典子:ピアノ) [ピアノ]

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[目][黒ハート] 海外で大変に評判のいい小川典子のドビュッシーの全集からの第3巻。聴き物は「おもちゃ箱」だ。バレエ音楽と言っても、カプレが完成した管弦楽版に対して、ピアノ譜はドビュッシー自身によって完成されているから、独自の価値がある。小川典子の演奏は、華麗なテクニックで、音離れのいい、爽快なものだが、何よりバレエのストーリーを追うようなところがあって、映像付きで聴きたくなる。誰か、CGアニメでも付ければいいのに、と思ってしまう(おもちゃ箱から出てきた人形と兵士が、結婚して20年後には子供たちと一緒という光景で終わる)。小川典子は、ラフマニノフの2番を聴いたことがあるが、音が伸び伸びとよく通って、大きめに聴こえるのが印象的だった。[BIS]


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「SOLATINO」(ガブリエラ・モンテロ:ピアノ) [ピアノ]

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[目][黒ハート] ベネスエラ生まれのピアニストによるラテンのピアノ曲集。いつもは赤いEMIのロゴが黒いのは、祖国の政治状況に抗議してのことという。チャベス大統領は、社会主義を進め過激な姿勢に賛否が別れる政治家だが、EMIは、体制側のシモン・ボリバル・ユース・オーケストラを取り上げたグラモフォンと袂を分かった。ここでは6人の作曲家と自身によるピアノ曲を集めているが、中心はラテンを代表する作曲家ヒナステラのソナタだ。例によって激しい曲想を持ち、明るく楽しいラテン、という曲集を期待するとかなり硬派の暗さのある内容に戸惑うかもしれない。しかし、ピアノのレベルは非常に高く、全体には躍動的なリズムの乗りはいい。ただブラジル人ナザレーの曲は、NAXOS盤の楽しさには敵わないように思う。同郷の女性作曲家カッレーニョの「小ワルツ」は、情感・共感がこもっていてグッと来る。[EMI]


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ヘンデル「クラヴサン曲集」(クリスチャーノ・オウツ:チェンバロ) [ピアノ]

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[目] バロックは、バッハの存在があまりにも大きいから、同年生まれながら、音楽スタイルも生き方も色々な面でバッハとは対照的だったヘンデルを知るのは喜びだ。ヘンデルのチェンバロ曲集は、バッハほど系統立てて録音されていないのが不思議なくらい親しめる曲が多い。このCDは、ケフェレックほどのオーラを感じることはないが、滋味な古楽器の響きが耳に快い佳演。短調の曲集を集めており、ケフェレック盤とはあまり曲もダブっていないのも有難い。ニ短調(HWV428)のアリアは10分近い長い曲だが、単純な曲想に心が和んで、幾度となく聴きたくなる。最後は、比較的よく知られたパッサカリアで華やかに終わるのもいいと思う。2011年度レコード・アカデミー賞録音賞。[RAMEE]


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KYOKO TABE "ENCORE BEST" (田部京子:ピアノ) [ピアノ]

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[目][黒ハート] 女性ピアニストの好きな作曲家というと、まずショパン、リスト、シューマン、そしてラベル、ドビュッシー、そしてバッハ、モーツァルトといったところだろうか。シューベルトは摘み食いとしてはあるだろうが、主要なレパートリーにするとなると最後の重たい3大ソナタが障壁になるだろう。しかし、これらを超えてしまえばロマン派はどれも怖いものなしだ。アンコール曲17曲を既発CDからまとめたこのCDは、ロマンティックな演奏にかけては日本人では右にでる人がいないというほどの田部京子の小品集で、どれもうっとり聴いてしまい大変に満足感が高い。エルガー、メンデルスゾーン、ワーグナー=リストなど大変な音楽性だし、人気曲シューベルトの「楽興の時第3番」も「こうでなくちゃ」と思わず感じ入ってしまう。不思議な雰囲気の吉松隆「真夜中のノエル」もいい。[DENON]


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神様のカルテ ~辻井伸行 自作集 [ピアノ]

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 [目] チャップリンの永遠の名作「街の灯」を観て思うのは、「どんなに貧しくても心のきれいな人たちがいる」ということだ。 このCDのを聴くと、「何年も光のない世界に生きて、どうしてこんなに優しい気持ちになれるのだろう」とふと思う。共通する答えは、「人の愛情」だろう。
しかし「街の灯」にしても、主演女優を途中で変えて最初から撮り直すほどの完璧主義があるからこそ有名な最後のシーンの感動があるように、ここでも優しさを支えているのは完璧な柔らかい指のテクニックで、右手左手のあらゆるフレーズに至るまで感情が息づいている。
その一方で、優しい歌、歌、歌と続くこのCDを聴いていると、不思議な感情で心が満たされる反面、もっとキレの良いリズムも聴きたくなる。ショパンの曲にしても、半分は特徴あるリズムの舞曲だ。
新しく加わった曲を含めても、依然として「川のささやき」がいい。[avex]


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ヴィルトゥオーゾ・ピアノ・ミュージック(ヴァネッサ・ベネッリ・モセル:ピアノ) [ピアノ]

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[目][黒ハート] 美人ピアニストが、プロコフィエフの「戦争ソナタ」(ソナタ第7番)をバリバリ弾くというミスマッチが大いに楽しめるCD。イタリアのピアニスト、モセルのデビューCDで、プロコフィエフに始まり、リストのスペイン狂詩曲、ハイドンのソナタ34番、そしてスクリャービンのソナタ第1番で全体を閉じるという意欲的なプログラムだ。イタリアの後、ロシアで学んでいることからか、プロコフィエフは音楽を十分に手中に収めて迫力もあり、構成感も安定している。一方でリストでは、スタイルを使い分けたかのような明るい音楽作りで好感度も高い。面白いのはハイドンで、速いテンポで技巧を強調する一方で、第2楽章では滲み出るような情感も感じさせる立派な演奏。歯切れのいい録音も優秀。これで渋谷のタワレコで800円足らずなら、とりあえず買うしかない!?[BRILLIANT ClASSICS]

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バッハ「パルティータ(全6曲)」(ウラディミール・アシュケナージ:ピアノ) [ピアノ]

ash.jpg(2枚組)

[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] なんと優しいバッハだろう!第1番第1曲の出だしの音を聴いた瞬間から、聴く者を無類の幸福感で包みこむような演奏だ。今は磨き抜かれたピアノのタッチで押されもせぬ大家となったアシュケナージだが、第5回ショパン・コンクールで2位になったとき、審査員のミケランジェリがそれに抗議してサインを拒否したことは有名だ(そのとき1位だったハラシェビッチは、清涼な演奏で悪いピアニストではなかったが、結局はそれだけで終わった)。アシュケナージは、ロシアの名ピアニスト、オボーリンの門下だ。この流派の特徴は、非常に叙情的なことで、どんな最強音でもピアノの音は荒々しくならない。もちろんそれだけではないのだが、この慈しむようなバッハを聴いて、改めてこのピアニストのルーツを感じた。素晴らしいの一言。[DECCA]

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シューベルト「即興曲作品90、作品142」(アレクセイ・ルビモフ:フォルテピアノ) [ピアノ]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] このフォルテピアノは、まるで古い木造校舎の小学校の音楽室から漏れてくるのを、廊下で聞いているような音がする。それも、ピアノ自体も古くて調律もあまりされていないような、おんぼろピアノのような音だ。その上、ルビモフの演奏も、何か新しい解釈を世に問うような高踏的なものではなく、言ってみれば月並みなロマンティズムのスタイルなので、戦後の白黒映画を見ているような懐かしさを催してくる。シューベルトと言えばブレンデル。でも神様ブレンデルの演奏は、月並みなピアニストには超えるどころか真似することさえ難しいから、ここにあるように、古楽器の音色で目新しさを演出して、演奏自体は普通に感情を込めていれば、曲は名曲中の名曲だから、聴き手はちゃんと感動出来るようになっている。作品90の第3など、しっとりとしていて、小学生たちもシーンとして聴き入ってしまいそうだ。[zigzag]

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