松本美和子「私の名はミミ オペラ・アリア集」(マウリツィオ・バルバチーニ指揮トリノ・フィルハーモニー管弦楽団) [声楽]
松本美和子最盛期の録音で、プッチーニ、ヴェルディ中心にフランス物を加えている。素晴らしいアリア集で、まず声がこれ以上は望めないほどに磨かれていて美しい。情感がこもっており、蝶々夫人の有名なアリアなどホロリとする。音程が全音符に渡って正確で、かつ腹式発声を完全にマスターしているので瑞々しい中に力強さがあり、聴いていて日本人が歌っているような気がしない。日本人によるオペラ・アリア集としては最上の1枚、声の美しさでは砂川涼子がいるとはいえ、全体としてこれ以上のものはまあ当面はむりだろう。当時は仕事に忙しくてオペラから遠ざかり、新国立劇場での松本美和子の蝶々夫人を観なかったのは、今もって痛恨の極みだ。[Victor]
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