ヘンデル・オペラ・アリア集「愛の力」(アマンダ・フォーサイス:ソプラノ、ジャネット・ソレル指揮、アポロの炎・クリーブランド・バロック管弦楽団) [声楽]
セント・ヘレナ-ナポレオンの伝説(レ・リュネジアン、ロマンティーク金管合奏団、アルノー・マルゾラーティ:総指揮) [声楽]
松本美和子「私の名はミミ オペラ・アリア集」(マウリツィオ・バルバチーニ指揮トリノ・フィルハーモニー管弦楽団) [声楽]
松本美和子「魅惑/太陽と愛~近代イタリア歌曲集」(ピアノ:ヴェンチェンツォ・スカレーラ) [声楽]
松本美和子「ひとすじに」(ピアノ伴奏:椎野伸一) [声楽]
日本の合唱作品集 ~細川俊夫、武満徹、間宮芳生、近藤譲(マルクス・クリード指揮、シュトゥットガルト声楽アンサンブル) [声楽]
ブラームス「ドイツ・レクイエム」(ロランス・エキルベイ指揮アクサンチュス、ボリス・ベレゾフスキー(p)他) [声楽]
ブラームス「ドイツ・レクイエム」(カラヤン指揮ベルリン・フィル他) [声楽]
ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」作品123(クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管他) [声楽]
ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」作品123(アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス他) [声楽]
「パリの青春」(マリー・ペルボー(s)、他) [声楽]
ブリテン「戦争レクイエム」(ヴィシネフスカヤ、ピアーズ、F=ディースカウ、ブリテン指揮、ロンドン交響楽団・合唱団他) [声楽]
「戦争レクイエム」はブリテンの代表作の一つで、非常に大きな編成を要求する大作だ。これは初演の翌年1963年に、作曲者自身の指揮により録音された歴史的名盤。英国は国教会だから、教会でのミサというよりは、演奏会用の作品と思う。レクイエムという伝統的な形式を取っているが、屈折した旋律や不協和音などで響きは十分にモダンで刺激的だ。内容的にも、深いメッセージを持つ名曲と思う。余白に練習風景が収められていて、「怒りの日」ではヒステリーを起こしてほしいとか、「サンクトゥス」では出来るだけバラバラに歌ってほしいとかの指示が興味深い(対訳付き)。先端技術によるリマスタリングにより、どう聴いても最新録音のような音で蘇った。[DECCA]
ショスタコーヴィチ「森の歌」他(パーヴォ・ヤルヴィ指揮エストニア国立交響楽団他) [声楽]
西側のショスタコーヴィチ像は、多分に歪められていると思う。ショスタコーヴィチは、社会主義革命もそれを成し遂げたレーニンも崇拝していた。当時の政権については、少なくともその芸術路線を受け入れた。そして、スターリンとその植林政策を賛美するオラトリオ「森の歌」を、全く自分の意志で書いた(もっとも作詞者は、スターリン批判の後に歌詞の一部を修正したが)。そして出来上がった曲は平明で分かりやすく、戦争が勝利に終わって祖国を緑で満たそうというメッセージは、普遍性もあり感動的だ。私は今はほとんど演奏されないこの「森の歌」を、いつか良い録音で聴きたいと思っていた。ここで歌われている歌詞は修正前の初版という。ヤルヴィの指揮は、純音楽的にこの曲を盛り上げ、バスの独唱も、オケも合唱団も少年合唱団も全てが滋味あふれて素晴らしい。[ERATO]
ブルックナー「テ・デウム、ミサ曲第1番」(マシュー・ベスト指揮コリドン・シンガーズ、コリドン・オーケストラ) [声楽]
ブルックナーは、もし交響曲第9番を完成できなかった場合には、この「テ・デウム」を終楽章に代えて演奏してほしいと語ったと言われる。その「テ・デウム」(ラテン語で「You God」、たぶん)だが、初めて聴いた。 これがいいのだ。内容はひたすら神の偉大さを称える開放的で明るい音楽だ。ブルックナーは9番を神に捧げる予定だったから、その隠されたプログラムは、「天地創造」というのが私の推測だ。そうすれば終楽章が「テ・デウム」というのはぴったりする。ただ今日、まず9番とこれがペアで演奏されないのは、①ハ長調であり、9番のニ短調とは遠すぎる、②あまりにも9番が宗教的になる、③明るすぎて9番の陰影感に欠ける、といった理由からだろう。演奏は、力の限りを尽くしたような発散的な歌いぶりが、宗教的なエクスタシーを感じさせる素晴らしいもの。
パーセル「妖精の女王」(クリスティー指揮レ・ザール・フロレッサン) [声楽]
36歳で夭折したイギリスの天才ヘンリー・パーセルによる、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」に基づく作品。 この作品は「歌劇」と呼ばれることもあるが、劇の付帯音楽に近く、歌うのは妖精を始めとする周辺キャラクターで、主要な登場人物の歌はない。だから、これを聴き通しても、筋書は分からない。それでもたっぷりとCD2枚分の音楽があって、器楽曲や歌や踊りやで変化に富んでいる。台詞はシェイクスピアの原詞ではなく、1世紀ほど後に書かれたためか、原詞よりは親しみやすいと思う。クリスティーの指揮は、無難にこなしたというもので、ハッとする瞬間がないかわりに、歯切れのよい音楽作りが耳に心地よい。ソロ歌手のクレジットはないが、よく歌っていると思う。[harmonia mundi]
ヘンデル「メサイア」(全曲)(ポール・マクリーシュ指揮ガブリエル・コンソート) [声楽]
昨年のクリスマスの時期に買ったもの。ヘンデルは、バッハと並び称されるが、バッハの宗教曲が多く新約に基づいているのに対して、旧約に題材をとったものが多く、日本人には馴染ずらいところがある。ただ、この「メサイア」は、主人公がイエス・キリストと新約の人であることが特徴で、詩句は新約と旧約の両方から引用されていて幾分は親しみやすい(それでもメサイア=救世主という呼び方は旧約からのものだ)。 私のお気に入りは、第1部で子が生まれたことを喜ぶ合唱曲だ(これも旧約からの引用だが)。マクリーシュは私の好きな指揮者で、その指揮は端正で歯切れがよく、透明感のある清々しくて明るい音色が特徴だ。[ARCHIV]
日本の歌~花は咲く(ソプラノ:森麻季、ピアノ:辻井伸行、山岸茂人) [声楽]
「花は咲く」「Stand Alone」をフィーチャーしたアルバム。山田耕作などの名作や最近の曲なども収められている。相変わらず清澄な歌声は、森麻季ならではのものだ。ただ声楽パートは控え目。森麻季をオペラでほとんど見れないのは残念だが、個性的なリサイタル盤には事欠かない。このアルバムは懐かしい日本のメロディーが中心だが、中に「見上げてごらん夜の星を」と「千の風になって」が収められているのが目を引き、どうしてもこの2曲を聴いてしまう。中身はもちろんいいが、日本盤は3000円とちょっと高い。森麻季だからまあいっか、と思ってレジに行くと3240円也。まあ、森麻季だからいっか、とほほ・・・。[avex]
シェーンベルク「グレの歌」(全曲)(アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、イェルザレム(T)他) [声楽]
ドイツ・ロマン派の最後に位置すると同時に、その後、無調を経て12音技法を開拓することにより20世紀の音楽に多大な影響を与えたシェーンベルクの初期の大作。独唱、合唱と巨大なオーケストラのために書かれており、このために53段の楽譜を特注したと言われる。大部分を20代半ばの時に仕上げていながら、既にドイツ・後期ロマン派の爛熟し完成した作風を示している。内容はヴァルデマール王とトーヴェの道ならぬ恋と、嫉妬した女王によるトーヴェの殺害、王の嘆きと、神による祝福を歌ったもの。全編が恋を歌った物語という点で、「トリスタンとイゾルデ」のオラトリオ版とも見れる。最後の壮大な混声合唱がもたらすカタルシスは、調性音楽による感情表現が頂点を極め、この先がないことを予感させる。アバドの指揮は明るく健康的なもので、語りは女声を使って効果を挙げている。[Grammophon]
GLORYLAND(歌:アノニマス4) [声楽]
アメリカの開拓史にまつわるゴスペル、フォークソング、賛美歌などの歌を集めたアルバム。 歌っているアノニマス4は、女性4人のアカペラのグループで、欧米では大変に人気があるようだ。4人といっても、混声や重唱と違い、いずれも清澄な声が美しいソプラノで、独自の明るくかつ敬虔な雰囲気がある。ここでは2人の男性器楽奏者を加えていて、全19曲をソロから全員まで、様々な組み合わせで歌っている。どの曲も、神を称えながら仕事に励むような宗教的な内容を持っており、アメリカ人の心のルーツに触れる思いだ。私は、このうちタイトル曲「Gloryland」を始めとする4曲のゴスペルが特に好きだ。英語ではあるが、歌詞を収めたブックレットが付いている。[harmonia mundi]
「ブタが飛べた」~20世紀の児童合唱曲集(ニュー・ロンドン児童合唱団、ロナルド・コープ:指揮) [声楽]
20世紀に書かれた14人のイギリス人(たぶん全部)の作曲家による児童合唱曲を集めたアルバム。ニュー・ロンドン児童合唱団は7歳から18歳までの児童(少女?)からなり、活発な活動を行っている団体のようだ。特に印象に残るのは、ジョン・ラターによる「大地の美しさのゆえに(For the beauty of the earth)」と題された曲で、「大地の美しさのゆえに、時々の美しさのゆえに、人の愛の喜びのゆえに、私はあなたを讃えます」と神への感謝を歌う宗教曲だが、感動的な歌詞で、メロディーもハーモニーも非常に美しい(ここ-歌詞付き-で聴けます)。この曲だけでも買う価値がある。30歳でケンブリッジ大学クレア・カレッジの学長になったというラターの合唱曲は、世界中で歌われているという。チルコットの「ゆりとばら」も、イギリス中世のひなびた哀愁を感じさせて心に残る。ただネットでダウンロード出来るとはいうものの、英文歌詞カードくらいは付けて欲しい![NAXOS]