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シェーンベルク「ピアノ曲集」(マウリツィオ・ポリーニ:ピアノ) [ピアノ]

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[目] 新ウィーン楽派(シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン)は、100年を経た今、なおも前衛だ。それを主導したシェーンベルク自身のピアノ曲は、初期のロマン派様式の曲がないが、それ以降の、無調から12音へと変遷していった軌跡を辿ることが出来る。「3つのピアノ曲op11」「6つのピアノ小品op19」は、無調で気持ち悪い。「5つのピアノ曲op23」から12音で作曲されており、無調よりは透明感が高く、「ピアノ組曲op25」ではバロック組曲に範をとっているため、いくらか馴染みやすい。シェーンベルクのピアノ曲集は、奇人っぽいグレン・グールドが録音していたが、これは正統的なショパン弾きであるポリーニが録音したことで話題を呼んだ。強い緊張感を感じさせる並々ならぬ演奏であることは分かるが、曲自体はいまだに前衛で、よく分からない。[Grammophon]

12音音楽について
「12音技法」というのは、システマチックに無調の音楽を書く手法だ。1オクターブの12の音をすべて使った任意の音列(セリー)を旋律、和声のベースにして曲全体を構成する。なぜこうするかというと、「無調というのは、実は書くのが難しい」(柴田南雄)からだ。無調というのは、主音・属音、主和音・属和音のない音楽で、旋律には発射する地点も目指す地点も着地する地点もなく、大抵は聴いていて気持ち悪い。シェーンベルクがなぜこうまでして無調にこだわったのかはよく分からないが、12音までいくとほとんど感情表現は排除される。
そのシェーンベルクを大叔父に持つクロード=ミッシェル・シェーンベルクが、感情表現が非常に豊かな「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」を書いているのは、音楽界の七不思議だ。


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