バッハ「パルティータ(全6曲)」(ウラディミール・アシュケナージ:ピアノ) [ピアノ]
(2枚組)
なんと優しいバッハだろう!第1番第1曲の出だしの音を聴いた瞬間から、聴く者を無類の幸福感で包みこむような演奏だ。今は磨き抜かれたピアノのタッチで押されもせぬ大家となったアシュケナージだが、第5回ショパン・コンクールで2位になったとき、審査員のミケランジェリがそれに抗議してサインを拒否したことは有名だ(そのとき1位だったハラシェビッチは、清涼な演奏で悪いピアニストではなかったが、結局はそれだけで終わった)。アシュケナージは、ロシアの名ピアニスト、オボーリンの門下だ。この流派の特徴は、非常に叙情的なことで、どんな最強音でもピアノの音は荒々しくならない。もちろんそれだけではないのだが、この慈しむようなバッハを聴いて、改めてこのピアニストのルーツを感じた。素晴らしいの一言。[DECCA]
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