ベートーベン「ヴァイオリン・ソナタ第1、4、7、8番」(アリーナ・イブラギモヴァ:ヴァイオリン、セドリック・ティベルギアン:ピアノ) [室内楽]
若冠25歳、世界が注目するロシアの新鋭イブラギモヴァと、フランス中堅ティベルギアンのロンドン、ウィグモア・ホールでのライブ盤。ティベルギアンのピアノは、若々しく快調なテンポで進行し、溌剌とした初期ベートーベンの世界を繰り広げる。しかし当日の大半の聴衆のお目当てはイブラギモヴァのヴァイオリンだろう。この人の演奏は、一聴して相当な才気を感じさせるもので、ビブラートは殆どなし、虚飾を排してひたすら音楽の本質に斬り込もうといったスタイルだ。だから、ピアノと違ってこのヴァイオリンは、決して耳に心地良くはない。ジャケットで見る通り、大変に魅力的な女性だから、まずはそのギャップに戸惑う。こういう人は、聴く方にもそれなりの求道的な強さを要求するから、じっくりと腰を据えて付き合っていこう。録音は極上。[WIGMORE HALL]
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