シューベルト「即興曲作品90、作品142」(アレクセイ・ルビモフ:フォルテピアノ) [ピアノ]
このフォルテピアノは、まるで古い木造校舎の小学校の音楽室から漏れてくるのを、廊下で聞いているような音がする。それも、ピアノ自体も古くて調律もあまりされていないような、おんぼろピアノのような音だ。その上、ルビモフの演奏も、何か新しい解釈を世に問うような高踏的なものではなく、言ってみれば月並みなロマンティズムのスタイルなので、戦後の白黒映画を見ているような懐かしさを催してくる。シューベルトと言えばブレンデル。でも神様ブレンデルの演奏は、月並みなピアニストには超えるどころか真似することさえ難しいから、ここにあるように、古楽器の音色で目新しさを演出して、演奏自体は普通に感情を込めていれば、曲は名曲中の名曲だから、聴き手はちゃんと感動出来るようになっている。作品90の第3など、しっとりとしていて、小学生たちもシーンとして聴き入ってしまいそうだ。[zigzag]
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