モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ(全曲、シムロック版)」(フランツ・ヨーゼフ四重奏団) [室内楽]
(2枚組)
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の編曲は19世紀末までに管楽器中心に600種類以上作られたそうで、そのうち弦楽四重奏版は11種類という。ここで使われている版は作者不詳だが、楽譜出版商シムロック社(現在でもあります)から出されたもので、ウィーン版2曲を加えて全ナンバーが収められている。フランツ・ヨーゼフ四重奏団はカナダの古楽器団体だから、この版の価値を現代に伝えることがこのCDの狙いだろう。全体に各パートに自由に旋律を割り振った娯楽色の強い編曲で、それは最終幕での騎士長の恐ろしいレシタティーブが第1バイオリンに出ることからも分かろうというものだ。弦は管より表現力が強いので、劇の進行も、1,2幕ともフィナーレに向かうエネルギーも十分に感じさせてくれるが、四重奏団の個性はいまいち。第1バイオリンの音色はかなり明るい。[ATMA Classique]
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