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ハイドン「弦楽四重奏曲作品9第4、作品50第2、作品76第1」(ドーリック弦楽四重奏団) [室内楽]

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[目] 新世代のイギリスの弦楽四重奏団のデビュー盤。この四重奏団は、第1ヴァイオリンのアレックス・レディントン(ジャケット左から2番目)と、チェロのジョン・マイヤースコフ(同左端)の2人の幼友達を中心にしたものだ。弦楽四重奏団を、第1ヴァイオリンが音楽をリードするタイプと、4人の均等なアンサンブルに重点を置くタイプに分けるとすると、スメタナ四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団は前者で、それぞれイルジー・ノヴァーク、ギュンター・ピヒラーの魅力が大きいが、この四重奏団もレディントンの第1ヴァイオリンが断然光っている。全体に弦の音色が、明るくて軽くて朗らかで爽やかなのが特徴だが、レディントンはそれになんとも言えない魅力的な歌い回しの味付けを加える。これからの成長が楽しみだ。[Wigmore Hall]

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ハイドン「ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ(全6曲)」(アントン・シュテック:ヴァイオリン、クリスティアン・グーセンズ:ヴィオラ) [室内楽]

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[目][黒ハート] ハイドンにこんな曲があったのかというような珍しい作品。ハイドンは当時からヨーロッパで非常に有名な作曲家だったから、作品はほとんど出版されていた。この曲集は作品番号こそないが、ハイドン30代後半のものと推定され、楽譜はヴィオラのパートを第2ヴァイオリンや通奏低音に編曲したものも含めて、当時かなり広く流布していたらしい。すべて3楽章構成で、第3楽章はハイドンには珍しく6曲とも変奏曲形式のメヌエットだ。モーツァルトにはこの形式のものがけっこうあり、聴いていてモーツァルトの音楽のような気がしてくるのが不思議だ。弦楽器奏者2人で演奏できるので、当時の市民層が楽譜を買ってきては家庭で演奏したのだろう。聴いているとつい演奏してみたくなる(出来ないと思うけど)。シュテックは、音色が明るく明瞭で素晴らしい響き。[ACCENT]

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バルトーク「弦楽四重奏曲第5番、6番」(アルカント四重奏団) [室内楽]

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[目] レコード・アカデミー賞が発表になったので、銅賞受賞のこれを買った。近頃は軽いものを聴くことが多かったので、弦楽四重奏は久しぶりだ。弦楽四重奏団は世代交代期にあると思う。この新しい四重奏団はまず、ヴィオラがタベア・ツィンマーマンであることが目を引く。特に前面に出ることはないが、さすがに中声部は充実していて、どんな単音からも音楽を感じさせる。チェロのケラスも骨格がしっかりしていて表現が積極的だ。それらに対し、ヴァイオリンのヴァイトハースはフレーズの一つ一つに細やかさを感じさせるところは魅力だが、ギュンター・ピヒラーがぐいぐい引っ張るアルバン・ベルク四重奏団などに比べると、物足りなく感じてしまう。オール・スターの代償だろうか。第5番は、1楽章などは民族色は薄くかなり上品だが、2つの緩徐楽章はさすがに感動的。[harmonia mundi]

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「レコード芸術」誌は、1月の誌面のマイナーチェンジで良くなったと思う。CDを通じて居ながらにして日本や世界の音楽界に触れることが出来るような楽しさがあるといいと思う(雑誌にしてはニュースが少ないなあ)。

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モーツァルト「弦楽三重奏のためのディヴェルティメントK.563」(ラルキブデッリ:弦楽三重奏) [室内楽]

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[目][黒ハート] 完璧な作曲技法ゆえに「神曲」と呼ばれている作品。この曲は、富裕な銀行家の依頼により作曲された、と言われることもあるが、物証はなく、作曲の契機は結局は分からない。依頼はなかった、というのは不思議だがあり得る話で、この曲は、「後期3大交響曲」「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」と並んで、モーツァルトが自己の到達した前人未踏の作曲技法を示すために、自分自身のために作曲した、という説はかなり信憑性があると思う。伸びやかに歌う旋律と、3つの楽器が織りなす対位法的な書法は、「完全な音楽」と呼びうるほどの高みを示す。ラルキブデッリは、チェロのアンナー・ビルスマを中心としたガット弦の団体で、第6楽章などもう少し愉しさを望みたいところもあるが、一体に速いテンポで快調だ。ブルー・スペッックCDで、音が生き生きとしてやや艶が乗るのが、聴いていて快感だ。[SONY]


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ヴァイオリン小品集「グランド・ワルツ」(吉田恭子:ヴァイオリン、白石光隆:ピアノ) [室内楽]

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[目] 東京出身の吉田恭子の7枚目のCDで、ワルツを集めた好企画。表情付けは、清楚で控えめ。海外のヴァイオリニストのように濃厚な感情表現で夢のような世界に誘ってくれることはないが、どこかしら現実感があって、聴いたあとでもすぐに日常の世界に戻ってこれる。日本人は現実的だから、きわめて日本的とも感じられ、このあとに尺八や琴の演奏が続いても何の違和感もない気がする。シベリウス、チャイコフスキー、プロコフィエフなど、オーセンティックな感じではないが、楷書をほんの少し崩したようなこの人のスタイルで演奏していて好感が持てる。白石光隆のピアノは、本物の西洋音楽のような甘い香りがするが、合わせてか、やはり表現は控えめ。[yamaha]


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ブラームス「ハンガリー舞曲(全曲)」(ヨアヒム編曲)他(ハガイ・シャハム:ヴァイオリン、アルノン・エレズ:ピアノ) [室内楽]

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[わーい(嬉しい顔)][黒ハート] ブラームスのハンガリー舞曲を、作曲者と親交の深かった大ヴァイオリニスト、ヨアヒムの編曲で聴くというのは、何という贅沢な時間だろう(大のお気に入りは7番、15番)。この珍しい編曲版は重音を多用して、ヴァイオリン音楽の神髄を聴かせるものだ。ハガイ・シャハムはギル・シャハムの兄だそうで、ギルより音色はやや暗いが、イスラエル系(ユダヤ系)の特徴である、艶やかな美音で、情感を込めてとうとうと奏でるというスタイルは持っている。ユダヤ系は、現在の世界のヴァイオリン界で最も大きな勢力をなしており、代表格はパールマンやズーカーマンだ。情感が感傷になると、大衆的な「ヴァイオリン弾き(Fiddler)」になる。この音楽は、コンサートホールというより酒場に向いているようなところがあり、ここでの演奏も、やや音を引きずるジプシー的な情緒を持っていて、ビールでも飲みながら聴くと最高だ。録音も極上。[hyperion]


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バッハ「2声のインベンション、パルティータ第2番、3声のインベンション」(ジャニーヌ・ヤンセン:vn、マキシム・リザノフ:va、トルレイフ・テデーン:vc) [室内楽]

 英DECCAが、まるでモデルかアイドルのように売り出しているオランダ出身のバイオリニストによるバッハの編曲中心もの。どんな美女も、職業指向の人は、案外男っぽくてさっぱりして気さくだったりする。ヤンセンの演奏もそういう印象で、まるで近所の明るくて性格のいいお姉さんから、最近練習したという曲を聴かせてもらっているような感じだ。どの曲からもバッハの「精神性」みたいなものは感じられないが、からっとした人間性に触れる喜びがある。と言っても父親がチェンバロ奏者という恵まれた家庭環境に育ち、音楽の運動性は非常にしっかりとしている。著名な音楽家との交友も広いようで、コンクール出身者にはない、近しい人たちと音楽を本当に楽しんでいるようなスタイルは最近ではむしろ貴重だ。2声の相手がチェロではなくビオラなのは、ボーイフレンドだから?[DECCA]


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シューマン「ピアノ五重奏曲作品44、ピアノ四重奏曲作品47」(ミケランジェロ・ピアノ四重奏団他) [室内楽]

 私のお気に入り、ピアノ四重奏曲の第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」を聴きたくて買った。シューマン(1810−1856)は1840年に、相手の親からの反対を乗り越えてクララ・ヴィークと結婚する。ピアノ四重奏曲は1842年、この幸福な時期に書かれた。緩やかに寄せては返す波のようなリズムの息づきの上に、秘めた苦しい胸の内を告白するかのような甘美な旋律が、中間部をはさんで、チェロ、バイオリン、ビオラと繰り返され、その度ごとに対旋律が絡み合いシューマネスクな世界が繰り広げられる。聴いている方も切なくて胸がいっぱいになる。ミケランジェロ・ピアノ四重奏団は、ピアノとバイオリンが女性、ビオラとチェロが男性という団体で、繰り返される旋律の情感・歌わせ方にムラがなく、緊密な音楽的関係が伺える。ピアノフォルテの音も、ガット弦の音とよく混ざり合って情緒たっぷりだ。[CHACONNE]


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ベートーベン「バイオリン・ソナタ作品12(第1番~第3番)」(ジョス・ファン・インマゼール:フォルテピアノ、ミドリ・ザイラー:バイオリン) [室内楽]

 インマゼールはベルギーのフォルテピアノ奏者で、自ら設立したアニマ・エテルナとモーツァルトの協奏曲全曲録音がある。ミドリ・ザイラーは日系、オーストリア生まれのバロック・バイオリン奏者で、そのアニマ・エテルナのコンサートマスターという。インマゼールのフォルテピアノは、ちょっと聴くと情けないようなひなびた音がするが、しっかりした音楽作り、細やかな情感の表現、躍動感あるリズムなど聴き込むほどに味わいがあり、最後には楽器の音色ともども虜になる。地味だが私の好きな奏者で、違いの分かる人には中身の濃さが分かってもらえるはずだ。ミドリ・ザイラーは針金から出ているような(ホントにガットなの?)細身だが芯の強い音がして、インマゼールを支える。ベートーベンはモーツァルトの終わったところから始まっているから、初期の作品でも書法は充実している。このCDも魅力にあふれている。[Zig-Zag]


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テレマン「ターフェル・ムジーク」全曲(ムジカ・アンフィオン) [室内楽]

 私が時々行く銀座山野楽器には、場所柄に似合わずBrilliant Classicsの常設コーナーがあり、これはそこで買った宝石箱のようなCD。テレマンは趣味の良さが身上だが、様々な楽器の組み合わせの曲を集めた彼の代表作を、ヨーロッパのバロック音楽の名手を集めたオランダの団体ムジカ・アンフィオンが、上品かつスタイリッシュに演奏している。私は買った日にバイオリン、フルート、オーボエなど個々の奏者の演奏水準の高さに魅了されて、ほとんどを一気に聴き通した。出来のいい綺麗な紙ボックスには、それぞれに名画を配された紙ジャケット4枚と英文解説書が入り、ささやかながら「所有する喜び」(と思えば)を与えてくれる。2003年の優秀デジタル録音で 4枚組1600円。同レーベル最大のヒット商品の一つ。[Brilliant Classics]


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モーツァルト「バイオリン・ソナタ集」(ヒラリー・ハーン:バイオリン、ナタリー・シュー:ピアノ) [室内楽]

 2004年録音。ホールのようだが残響が少なく、狭い場所で親密に弾いているように感じられていい録音と思う。このCDの主役は当然にハーンだろうが、無名のシュー(ツー?)のマルカート調で何と生き生きとしていること! 有名人と競演してこんなにはらつと演奏できるのは、この2人が10年以上にわたってデュオを組んできたことからくる信頼関係の賜だろう。それでいてホ短調(K304)も十分にしっとりと聴かせるし、イ長調(K526)では高度なアンサンブルを見せる。ハーンの滑らかな音色と優美さもさることながら、このCDではシューの伸び伸びとしてしかし決して様式感を失わない明快なピアノが印象的だ。[Deutsche Grammophon]


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ベートーベン「弦楽四重奏曲作品18(全6曲)」(シャロン四重奏団) [室内楽]

シャロン四重奏団は、第1バイオリン奏者のギル・シャロンが主宰し、西欧で活動する東欧出身の団体。若い日のベートーベンの作品18のCDを欲しいと思って探したところ、タカーチ四重奏団の2枚組3000円と、この3枚組1600円の間で迷った。だが、「タカーチが悪かろうはずはないけど、面白みはないなあ」と、敢えて初めて聴くこの団体のものを買った。すばらしい演奏で、またたく間に私の愛聴盤になった。シャロンのリードは若々しくて、何度繰り返し聴いても全ての曲が新鮮に響く。録音も1998年のデジタル録音で、軽やかで鮮度がある。[Brilliant Classics]


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バルトーク「弦楽四重奏曲全集(全6曲)」(ルービン四重奏団) [室内楽]

 ルービン四重奏団は、フランス、ドイツの女性4人からなる団体。宝石のルビーから名を取ったという。よく弾けていて技術的には特段の問題はない。でもこの仲良し(多分)4人組、あまりにもすらすらと楽観的に音楽が流れるので、バルトーク特有の苦悩も晦渋もない点はやや物足りない。もう一つは4人の力が拮抗していて、誰かが個性を主張するようなスリリングな場面がないのもやや物足りない。でもこんなにバルトークを楽しく聴かせてくれるのは立派。そして何よりバルトークの弦楽四重奏曲全曲が2003年の最新デジタル録音、2枚組で990円! [Deutschlandfunk / Brilliant Classics]


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