「マドリガル」(古澤巌:ヴァイオリン、小林道夫:ピアノ) [器楽]
東京都響でコンサートマスターをしていて、現在はソロで活躍している古澤巌の、1989年録音のおそらくはデビュー・アルバム。愛聴というのが聴いた回数とすれば、こんなに愛聴したCDはない。男性はそうは感じないが、女性にはタイトル曲の「マドリガル」を始めとして「涙腺を刺激する」と感じるようで、聴いていて本当に涙を流し出す女性もいるようだ。フレーズの隅々まで感情がよく込められていながら、軽快なテンポでぐんぐん進む音楽作りは決してウェットにはならない。技巧も大変なもので、第2曲の「チャルダーシュ」(モンティ)は、速いテンポと正確な指使いが耳に快感だ。よく歌うヴァイオリンの伸びやかな美しい音色と、自在に楽器を扱う技巧が、何回繰り返し聴いても印象的で、日本人によるヴァイオリン小品集の傑作と思う。[EPIC]
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