ケクラン「サクソフォンとピアノのための15の練習曲作品188」他(フェデリコ・モンデルチ:サクソフォン、キャサリン・ストット:ピアノ) [器楽]
サクソフォンはフランス文化の中で生まれ、抒情的な音色に特徴があった。そのことは、ビゼーの「アルルの女」中のしっとりとして敬虔な間奏曲にも窺える。シャルル・ケクランはフランス近代の作曲家で管弦楽法の大家のようだが、ここに収められた曲集もフランスのエスプリを感じさせるもの。練習曲とは言っても、かなり凝ったピアノ伴奏が付くことから分かるように演奏会用だ。ケクランはサクソフォンの専門家ではないから、運指の練習曲のようなものはほとんどなく、親しみやすく平易なメロディーを持った、そのまま歌えるような曲が多い。だが、この多作家の晩年の作品であり、書法は大変に充実していて、聴けば聴くほど味わいを感じるスルメのような音楽だ。イタリア人モンデルチの演奏は、乾いた音色が耳に心地いい。[CHANDOS]
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