「début」(辻井伸行:ピアノ) [ピアノ]
話題のCD。2枚組で、1枚目はショパン、リスト、ラベルの作品集、2枚目は自作小品集になっている。演奏は、柔らかな指使いで、ぐいぐい引っ張る。収録時間・価格からすると、2枚目はオマケという位置付けなのだろうが、内容的にはその2枚目の方が断然面白い。どれもポップス・ソングか映画音楽のように親しみやすいメロディーを持っているが、演奏の格調は保たれ、「川のささやき」は、きらきらした情景描写が滑らかなピアノ演奏ともども感動的だし、「セーヌ川のロンド」は、曲も演奏も隅々まで幸福感に満ちていて心が明るくなる。昔、名だたるピアニストはみな作曲家だった。20世紀前半でさえ、ショスタコービッチは第1回ショパン・コンクールで入賞している。なのに現代のピアニストは古典の演奏しかしない。クラシックが先細りしないためにも、こういう企画はとてもいいと思う。[avex]
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