チャイコフスキー「くるみ割り人形とねずみの王様」(ポール・コネリー指揮チューリヒ・オペラ劇場) [バレエ]
E.T.A.ホフマンの原作から、チャイコフスキーがバレエ化に際してカットした部分を復活した「完全版」による、目から鱗が落ちる公演。当然に同じ素材の音楽は組み替えられており、王子がねずみによりくるみ割り人形に変えられた経緯が分かるので、元の王子に戻った時の感動が表現される。三大バレエの中で最後の「くるみ割り人形」の音楽には、一種の畏敬の念を抱いてきた。色彩的で近代的な楽器法、巧みな対旋律など、不思議な魅力を持った名曲だ。オケは十分に本格的で快調、指揮もスリリングにストーリーを追ってスピード感あふれるもので、共にこの画期的な振付を盛り上げている。それにしても、チューリヒの歌劇場がなぜこんなに素晴らしい公演ができるかが不思議だ。
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