クロイツェル「ヴァイオリン教則本 42の練習曲」(木野雅之:ヴァイオリン) [器楽]
(2枚組)
クロイツェル(1766-1831)「42の練習曲」は、ヴァイオリンの教則本としては最も有名で、最もよく使われているものという。ベートーベンがソナタ9番を捧げたことで有名なクロイツェルだが、本当はクレゼールと読むフランス人で、フランス・ヴァイオリン楽派の基礎を作った人だ。第1曲は意外にも長い音符によるボーイングの練習曲だが、2曲目からは普通に運指を中心にしている。決して初級ではなく、特に32番以降は重音の連続で、相当に難しそうだ。ただ、極端なハイポジションはなく、ベートーベンの協奏曲などには別の練習が要りそうだ。ツェルニーやポッパーの練習曲が芸術的な香りを持っているのに対して、内容的には正直言ってつまらない。子供がこれを全部習得するなると、根気の訓練にもなりそうだ。木野雅之の演奏は、一音一音をはっきりと弾いていて、レッスンの友としていいかもしれない。美しいホール・トーンの録音が魅力だ。[EXTON]
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