バッツィーニ「ヴァイオリンとピアノのための作品集」(クロエ・ハンスリップ:ヴァイオリン、カスパー・フランツ:ピアノ) [器楽]
クロエ・ハンスリップは、現在、世界の若手ヴァイオリニストの中で、私が最も注目している人だ。イギリス生まれの20歳で、5歳から7歳までロシア人に就いて英才教育を受け、その後ドイツ、イタリア、オーストリアで学んだ。ロシア楽派の影響からか、イギリス人には珍しくメカニック指向だ。オイストラフ、クレーメルに受け継がれるロシア楽派は、今では珍しいが、一音一音が意味を持つようにくっきりとして、決してムードに流されない。ここではパガニーニの存在に隠れたヴァイオリニスト兼作曲家バッツィーニ(バッジーニ)を取り上げ、高い技巧によって初めて可能となった、ミクロ単位とも言えるような女性らしい極め細かい表情付けによって、ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリンの世界を、完璧にかつ格調高く表現している。どの曲も素晴らしいが、2つのサロン風小品、2つの大練習曲などはスタイリッシュで絶品だ。まさに本物の才能に接する思いだ。[NAXOS]
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